機械式時計の時刻合わせをする度に操作するのがリューズですが、普段何も考えずに操作している人は意外に多いのではないでしょうか。
中には、
「しっかり巻かないとすぐに止まりそう・・・」
「しっかり締めないと水や埃が入りそう・・・」
そんな不安から毎回キツく巻いたり、締めたりしている人も少なくなさそう。
でも、それは故障の原因にもなりかねないので、もし思い当たる節があったら、今日から操作方法を改めていきましょう。
これまでにロレックスやチューダーなど、20本近くの機械式時計を所有してきました。
では、なぜやりすぎが駄目なのか、やりすぎるとどうなってしまうのかを以下に詳しく解説していきます。
自動巻き時計のリューズは巻きすぎに注意
針が停止した状態の自動巻き時計。
これを動かすために、リューズを20回以上巻いているとしたらそれはやりすぎです。
機械には過剰な負担がかかっています。
そのような行為を毎日、何年間も繰り返しているとしたら、ローターの動きをゼンマイに伝える「切り替え車」という部品が摩耗している可能性大。
そうなれば、ゼンマイの巻き上げ効率が落ちてしまう上に、他の部品の劣化を早めてしまうことにもなりかねません。
リューズを巻くなら、毎回10回までと決めておきましょう。
それでも針が動かなければ、あとは腕に巻いて振動で動き出すのを待ちましょう。
とにかく、リューズの巻きすぎは機械に過剰な負担をかけてしまうので、気を付けるようにしてください。
ねじ込み式リューズは締めすぎたら駄目!
「ねじ込み式リューズは、キツく締めることで防水性を確保できる」
でも、これは正しくないので注意してください。
実はネジ込み式リューズの内部にはゴムパッキンが付いていて、そのゴムパッキンが防水性を確保する役割を果たしています。
決して、ネジを締め付けることで水気の浸入を防いでいる、というわけではないんですね。
むしろ、強い締め付けを繰り返すことで、ゴムパッキンやねじ山が潰れしまう恐れがあります。
ねじ込み式リューズは、適度な力で根元まで締めたらそれでOK!
真っ直ぐ、ゆっくり、丁寧に締めることも心がけましょう。
最後に
リューズは日々触れたり操作したりする機会が多く、しかも繊細な部品であるが故にトラブルも起こりがちです。
それだけに、基本に忠実に、日々正しい操作方法を心がけることがとても大切です。
もし既に何らかの不具合が出ている場合は、すぐにメーカーや時計修理店に相談しましょう。
不具合を放置しないのも、当然ですがとても大切なことですね。